2012年10月17日水曜日

くくりは蝉科・葉山の40年蝉となって想うこと

 
 
 
そんなこんなで 新作をアップしました。
 
動画に安い音楽がついてしまって反省しています。
一度つけてしまってどこをいじったらはずれるのかわからなくて
トホホ・・ですが
もっとポレポレちっくで間抜けな打楽器だけの音があれば
誰か教えてください(笑)

 
最近 
 
 「元気なうちは陶芸に没する。身体が動かなくなったら個展をしよう。」
という結論になりました。
 
年をとって目の焦点があわなくなって
粘土を持つ手がふるえて
色々な部位が締まらず人前でプップと漏らすようになったら
日記帳を読み返すように自分の作品を整理しよう。
 

1988年に築窯して今年でおよそ24年の潜伏期間を過ごした計算(笑)
そしてあらたにもう10年の潜伏期間めざして・・。
 
もうくくりは7年蝉や15年蝉と一緒でいいです。ハイ。
セミ科のキネジコ宣言です。

==========

ロシアのスズダリという田舎町のホテルで
目の前を歩いていた日本人のご婦人が急に視界から消え
崩れ落ちるように倒れました。

町の救急車が来るまでの1時間半
見ず知らずのご婦人に付き添ったのですが
彼女の足は骨折したらしく動かなく
会話も時間が経つにつれて話のろれつが回らなくなって
「脳梗塞?脳出血・・?」
って思って手や足をさすって声をかけても
もどんどん反応が鈍くなって無表情になってゆきました。

「脳梗塞の治療の点滴はたしか4時間以内?」とか思い出しながら
待っていました。

長いながい2時間が過ぎてようやく救急車がつきたので隊員に
倒れた様子や時間を話して
「strokeかもしれないから骨折の検査より脳のスキャンを先にしてください。」と
申し送りした。

翌日ホテルの人から
「英語を話せないおばあさんとロシア人の通訳を通していたら
脳の治療が間に合いませんでしたよ。ありがとうと伝えてくださいと言われました」

そのご婦人の早い帰国を願いながら
色々な想いが去来する秋の空でした

ただ一つ言える事は
「その日」は予告なしにやってくるんだな・・。

「今日が人生最後の日」という設定で日々をおくっているのが信条だが
実際に目の当たりにすると考えさせられるなあ。







 
 
 
 
 

2012年10月15日月曜日

ロシアのスリを一撃で倒した武勇伝@大和撫子

エカテリーナ女王の夏の宮殿での覚書。

この宮殿のことはNHKの名曲アルバムのような画でずっと夢をみていて
はるばる東の彼方よりヨレヨレとたどり着いて・・・・。

でも今振り返ると 宮殿の思い出のえずらは
スリ一団の顔と小太りおじさんのまぬけな笑顔だけが
鮮明に浮かぶという悲劇に終わったのでした。



黄金の噴水!本物の金箔!
でも正直、ロシアはどこもかしこも
金や宝石でピカピカまみれなので
日本の侘びて寂びてるものが
恋しくなったというのが本音かな?
宮殿の辻つじに貼られた
スリに気をつけての看板・・。
おまわりさんの姿はなく
自己責任という感じかな?
夏の宮殿は世界中からの観光客で溢れていました。
イタリア人が多いのは
イタリアの建物の原型がロシアにあるので
それを目当てに来るとのこと。
 







憧れの宮殿の噴水庭は


まったく息をのむ美しさで ロシアの短い夏と黄金の噴水のコントラストに
しばしうっとりして至福の時をすごしたのだけど・・

ふとはずれの噴水に目をやり
豪華なレフカメラを三脚に組み立てて撮影に一生懸命な日本人おじさんを
「平和でいいなあ・・」と思って眺めていたら
ジプシー風のおばあさん・中年の女・若い女・足もとに子供
が日本のおじさんの廻りを取り囲みはじめた。

「スリ・・?」としばらく眺めていたが
ちょっと背伸びして確認すると
おじさんのたすき掛けになったバッグの中に女の手が入っていた。
おじさんは撮影に一生懸命で気がついていない。

次の瞬間、気がつくと私はその一団を
ビリヤードの玉のように体当たりの一撃で散らし
バッグに入っていた女の手首をひねりあげて
「スリ!」ってワイルドにやってやったぜ。

そのチャルメラ風おじさんは 何が起きたか全くわかっておらず
大切なカメラを抱えてきょとんとしている。

説明してやっとカバンのチャックがあいていたので
ようやく理解したのちに驚いて感謝されたのだが・・。

その後 私はスリの歯の無いおばあさんと
若い女と子供達に囲まれてすごい剣幕で口撃され
なぜかスマホで撮影されたが
「policeよぶわよ」と言うと散っていった。

おじさんいわく
「今日は俺、やけにモテるな・・。」と思いながら撮影していたそう(笑)

やれやれである。

その昔、アテネに住んでいたときに
アクロポリスで出会う日本人団体旅行の客が
子供心に恥ずかしくてはずかしくて大嫌いだったけれど
今は違って見える。


日本人は平和ボケしていると言われるが
性善説の日本人の佇まいは外国では際立って見えるから
なんだかちょっと誇らしく?ほっとするのだ。
猜疑心の強い眼をした大人より
善男善女の佇まいのほうが結構なのでそれが嬉しいのだ。


日本の善良なおじさんを守ったその翌日に
日本の善良なおばあさんを救ったお話はまた明日

日本の善良なおじさん&おばあさん!
私がそばにいたらいつでも助けてあげるからね。
ボンボヤージュなのである。



帰国後の窯出しの作品紹介

coco girls 2012
























2012年8月30日木曜日

長年の筆の悩みが解決した祝日!陶芸筆に最適の筆発見なのだ

主の喜びを共にする?
この子たちの髪の毛の彩色中に発見したのです。
 
釉薬掛けの作業を夏休みも挟んでもう数カ月やっているが
今日は嬉しい大発見があったので記しておこう。

釉薬は意外とキツい成分があるせいか
作業中は手がすぐにガサガサと荒れる。

同様に動物の毛で出来た筆も
キューティクル的なものが剥がれて
あっというまに筆先がバラバラになって
1,2回の釉薬仕事でボロボロとなり
使い物にならなくなるのが
私的にはとても残念なことでした。



まさか人工の穂先でできた筆がこんなにいいとは思わず
今まで振り向きもしなかったことを反省しつつ
いつも沢山筆を売ってもらっていた道具屋さんに心で詫びながら
ネットで検索して次の釉薬作業のために各サイズを注文した夏の日でしたとさ。

それにしても・・・
さすが日本製?
サクラさん、ありがとうなのです!





左から 釉薬の鉄分で数回の利用でボロボロになった動物で出来たダミ筆。


真ん中がタヌキの毛で出来た面相筆。
これが結構高価なのだが 
あっというまに穂先がボロボロになってしまうので
毎回 10本~15本と買い求めるたびにがっかりしていました

今回使ってみて驚いがのが
人工穂先の筆でした。
水の含みもよいし 釉薬にも耐性があって
しなりも適度にあって
BINGO!


さっそくネットで検索して沢山仕入れることができました。
サクラさん!
サクラ画筆 ネオセブロン!
良い商品をありがとうなのです!
 

ロシア旅行記2012~エルミタージュとゴッホの焼き物 ~絵皿と壺~


エルミタージュ美術館に陳列されていたゴッホの焼き物

小さい頃にこれを作っているゴッホの写真を見て
いつか本物を見たいな~と思っていたのです。
美術館の最上階の隅っこにあったので
沢山歩かされた末に出逢えたので
喜びも倍増でした。

キンキラキンの展示物だらけのエルミタージュの中で
唯一 土の香りのする素朴なものだたので
周波数を合わせることも出来
お話をしばしすることができました。
 そんなこんなでロシアの長旅から帰ってきました。

今まで色々な国に出かけたけれど
アラフォー過ぎた頃から 「飛行機に乗るのも疲れる」ということに気がつき
今後は飛行時間の長いところから攻めてゆくことにしたのです。

サンクトペテルブルグを目指すならモスクワまでの直行便10時間+乗り継ぎ合計3時間
でなんだかんだホテルに到着するまで15時間かかったかな?


最近の日本の夏の暑さといったら もう凶器のようで
やる気も気合いも溶かされてしまうほどで
クーラーをかけていてもテンションが下がり気味でしたが 
涼しい国では おデブの私でもスタスタと歩きまわって
精力的に美術館やロマノフ王朝のお宝を拝見して
大量の芸の肥やしを見聞することが出来、
ロシアンパワーをもらって元気に蘇り帰国した次第です。


陶芸を目指し始めたころには
「陶芸家=ストイックで慎ましく・清貧であらねばならない」となぜか思っていて
実践しようと試みたけれどある時からそれをやめて
「ふんだんに見聞・体験を広めて肥やしを身につけ豊かな作品を生み出そう」
にシフトしたので これはサボりではなく 自分的にはOKなのである。

それで感想は?

・・・・ロシア王朝の金銀財宝@絢爛豪華さには 心底驚かされたけれど
やっぱり「今を生きていること」には叶わないなあ~~。

所詮、価値はどうあれ「物は命を超えないんだな~~」と思ったことが正直なところです。

それをいっちゃっちゃあ終わりなのだが
所詮、自分の作っているものは
「命のきらめきには遠く及ばないただの焼き物」である
ということになってしまうのだけれど
そのことを知った上で 
足るを知り真剣に取り組んでいくのがいいのかもしれないな・・ってね。

もし本当に輪廻転生があるとしたら
行列に並んで生まれ変わりを待っているエカテリーナさんはきっと
「もう何もいらないから早く命をください」って言うだろうな。








2012年8月8日水曜日

相馬野馬追祭りとヒマラヤ塩と桃の山

そんなこんなで熱い日々が続きますが
私は今 沢山の桃と岩塩と常盤ハワイアンホテル・オリジナルハワイアングッズに囲まれています。
なぜって?
福島県の相馬市の野馬追祭り見学に出かけていたんですね♪

その昔 馬を飼っていたころにこのお祭りに一度は行ってみたいと思っていたけれど
そのうち・・そのうち・・と後回しになっていたので
3.11があって復興支援にもなるというので今年行くことにしました。

このお祭りは土と汗にまみれた飾らない良さが伝わってきて
しみじみと感動を味わいました。
馬はすべて自宅で個人が飼っているというところが深いのです。

以前のアトリエは乗馬倶楽部に隣接していたので
馬を飼うことの大変さを身近で毎日見ていました。

予防注射に毎日の厩舎の掃除・運動させて・調教も・・
水の補給、馬を洗って蹄鉄屋さんを呼んで・・・と
大変な作業がエンドレスに続いて旅行行くのもままならない。
真冬の早朝、厩舎の掃除と藁敷きは見ていて本当に頭が下がる思いでした。

相馬の人達はたった3日間のこのお祭りの為に
大変な陰の仕事をしているのです。

伝統を繋いで今に残してくれている事に感謝しながら
精一杯の応援をしてきました。

福島産の果物や野菜を沢山買うことに決めて帰ってきましたが
近所のスーパーに行って探しても他県のものしか見あたらず
ちょっと悲しい気持ちになりましたが
来年も再来を誓ったキネジコでした。

それにしてもこのピンクの岩塩
よく見ると ヒマラヤ産ではないですか(笑)



旗をとった勝ち馬は
この坂を駆け上がって報告します





馬具も伝統のものです。
見えない所にドイツ製使っているところがあるかな・・?
と探しましたがすべて純正伝統の馬具でした。
相馬市にはこれらの馬具を専門に修理する
職人さんがいるそうです。


花火で打ち上げられた赤と青の旗を
馬に乗った男たちが取りにいきます。
のぼりが美しいです。
黒沢映画もこの地で撮影したそうです。


次代を継ぐ
若い青年の姿がキラキラと光って見えました。












2012年7月11日水曜日

猫に職務質問


「岩を掘る工夫は30歳の誕生日を迎えると 長生きのお祝いをしました。」

先日の石見銀山でガイドさんから聞いた言葉を反芻しつつ
「今日あたり海に飛び込めてえなあ・・」
と思いつつ ○○さん元気かな・・など混沌としながら
夏の日差し受け過ぎて白くピンボケしたようなバルコニーをながめながら
ヨレヨレと先日作ったウォーターキーパーを鉢に刺してまわる。

水を注ぐとテラコッタから粘土のいい匂いがかすかに鼻孔をくすぐる

ああ・・

私が独りでも楽しくいられるのはこれがあるからだ。

花に水をやってこの原始的な飾らない匂いが
頭の中を整理してくれた。
「一度アトリエを掃除して次の作業をしましょうね」

・・・・・。

でもまた同じ道具と釉薬を取り出すのだから
そのまま続けてもいいと思うのだが

「掃除・整理整頓」の作業と同時に脳の中の混沌も整理されるのを
本当のところは知っているのだ。

ただスイッチが入らないだけですね。
はいはい。やりますよ~~

今回色々と試作したけれど
猫のウォーターキーパーが採用となりました。
花の合間から覗く顔が
なんだかヘンテコなので
気が合ったようです





おやじ猫のような
覗き猫のような
挙動不審の一品。
水を注ぎながら
「職務質問します。何処からきましたか?」って聞いたら
すごい答え!!が返ってきました(笑)
エヘヘ・・内容は秘密にしておきます。


HAYAMAとヨットを白粘土で描きましたが
ま・・・・not bad...but not good enough....

「誠に残念ながら今回は不採用となりました。貴殿のご多幸をお祈りいたします」
このシンプルなウォーターキーパーは
食指が動かずお倉入りとなりました。。。
残念!
この子もかなり変ですね
隠れて雀でも狙っているのか?

思わず「おいおいたいがいにしておきなさいよ」って
声掛けをしてしまいそうです。

2012年7月1日日曜日

ギリシャ人の歩みでようやく新年の誓いを始めました。

今日の作品紹介です。
今日から001番の始まりです。
作品番号001番 little mermaid Alice by Kineziko

2012年の誓いはたしか
「毎日作品を一つアップする」でした。
今日は7月1日。
ちょうど半年たって重い腰があがった
ギリシャ育ちの作者です。
ニュースで「ギリシャ人は世界の怠け者」と
噂されるたびに なんだかビクビクして
「バレたか・・・・」ってね(笑)

そんなこんなで
ようやく
今年最初の1歩

its never too late to start

と都合のいい言葉をつぶやきながら
次のHappy new year まで
がんばる所存です(笑)







そこにあるだけで
キラキラと宝石箱のように華やかです。
もう少し実物に近い写真を練習します。
朝日が金彩色に反射して
その場がまるで陽だまりのような
光に包まれます。
ちょっと神秘的な朝の現象です。

ウロコは金彩色で表現しました

定番のキラキラ魚に
キラキラ珊瑚
愛にあふれています
みんな違う表情ですが
微笑みいっぱいです

今日のエッセー


最近の小さな発見・きっと一生続ける「鉄鍋」シリーズ

古くなったグリルを新しくするのに
次は安全なIHにでもしようか・と思っていたが
ふと入ったガス屋さんで
ごっつい五徳のある原始的な「火の調理」に心魅かれて
ガスのグリルを新調したのだが
オマケについていた「ダッチオーブン」なる鉄の鍋でご飯を炊いたら
これが料亭のように旨くできたので
「火+鉄鍋=絶品」の方式が頭の中で構築されてしまい
単純なキネジコは
さっそくamazon.comで様々な形態の鉄鍋を仕入れてしまった。

中央奥の鉄のフライパンで肉を焼くと
レストランの味が再現できます
右手奥の南部鉄器の酒器
形に一目ぼれしました
2合炊きの鉄器炊飯器
15分の過熱と10分の蒸しで夢の絶品白米!
お試しあれ


重い!

でも何を作っても旨いのだ。
米・炊き込みご飯・ビーフシチュー・蒸し魚・・・etc

後片付けが大変!

皿洗い機の中も シンクのホーローも 鍋の引き出しも
キズだらけのハゲハゲに・・

鉄器の底がガシガシ&重たいから仕方ないけどね・・。
きっとIHだったら表面がキズだらけになっているだろうな・・。
鉄鍋を使うには五徳のしっかりしたガスグリルをおススメする。

年を取って「火の消し忘れ・火の燃え移り」を心配されたり
手首のリューマチがひどくて鉄鍋が持てなくなった・・
という事態になるまで
私はこの原始的な調理を続けようと思う。

南部鉄器の酒器など使うあてはないが
伝統の美しさに一目ぼれして買ってしまった。
電子レンジでチンする燗よりチョロチョロの直火で燗した酒は
さぞ旨かろう・・・イヒヒ。。。
と冬まで戸棚に仕舞いこんだが
このまま忘れ去らないように気をつけなきゃね♪

そんなこんなで7月です。
今年の目標をたててようやく実行に移すまで半年かかったけれど
「作品を1つずつアップする」こ手をつけよう。

ショップは・・?
個展は・・・?

10年後をめどに
今は作品を作ることに専念します

え?
そんなスパンで大丈夫なのって?
デンビラージ
アーブリオ

(dont worry,I`ll do it tomorrow)









2012年6月27日水曜日

「重なりのエクスタシー」

最初この題名を「重ねの美学」と記したが
「美学」なんて昭和な言葉だな・・・
と感じたので「重なるリンク」と書きなおしてみるが・・
う~ん。この言葉も既に古さを感じさせるなあ・・

えっと・・・
イマドキの言葉にすると
「重ねフェチ」・・・ううん・・これは更に古いな・・
「重ねオタク」を短くして「重ヲタ」・・・・う~ん・・違うなあ・・・

ええい!やっぱり心に正直な言葉でいこう
「重なりのエクスタシー」。
・・・・これ一番しっくりくるってね(笑)

先日 八百万の神に呼ばれてヨレヨレと出雲大社に出かけた際
一番感動したのが石見銀山で出会った大名屋敷後の納戸の中であった。

「美しく仕舞う」と題された部屋には
きっちりと什器の 重ね!重ね!重なり!パラダイスが繰り広げられていた。
これを見て 殆どの人が「ふううん」と言って通り過ぎるだろうが
私は感動の涙がこみあげてきてゲホゲホむせてしもたのだ。

下から上までぎっしりと重ねられた
食器の箱・箱・はこ・・・
どの線にもだらしなさがない
先人の女たちに感服
その昔、お茶を習っていたときに
お茶会の宴のあとに残された
大量の食器を仕舞う事の難儀を体験しているので
きっちりと美しく仕舞われた食器の山に透けてみえる
先人の女たちの所作に感動するのである。

小泉八雲さんが
「日本の女性の所作は世界に類がないほど美しい。」
といった趣旨の文を残しているのを読んだが
きっとこの事だろう。

古の女たちの知性や苦労や慎ましい暮らしぶりが蘇る。
私の場合、それが3Dではっきりと映像化され
なんと音まで再現されるので困るのだ。
(石見銀山の苦役石工の話には1滴も涙が出なかったのに・・)

大量の漆器や飯器や食器を倉庫から担ぎ出す→
食器1つずつをとぎ汁などで洗って干す→
使う→
水に浸けて汚れを浮かして丁寧に洗う→
数日間乾かす→
水滴などのシミをふきながら1つずつ丁寧に紙にくるむ→
重ねて→箱にしまう→さらにその箱同士を重ねて仕舞う。
引きだしの中にも
ほらこんなに・・・
これを真似れば我家も
かなりスッキリするはず・・。
メンドクサイと漆器や目の洗い萩焼の食器を
まだ湿ったままで箱に押し込めると
次に出したときにカビだらけ&シミだらけの食器と再会することになる。
そのカビは「味」として鑑賞にも堪えない代物・
漂泊しても取れない汚れとなって使い物にならなくなる。

数の揃った客用のお椀の数かず
塗りのお椀が見事です。
道具屋さんが作った箱はどれも中身が動かないように
きっちり納まる大きさに造ってあるので
緩衝用の紙をちょっと丸めたままで重ねても
箱のふたが閉まらない事になる。

めんどくさくなってぎゅうぎゅうと押しこめると
箱の中から「キャ~」と悲鳴と共にメキメキと嫌な音がする
無視して力まかせに蓋をしても
微妙に蓋が開いてしまって押し入れの中でうまく箱同士が重ならなくなってしまう。

どの体験がどうやって頭の中で発酵して「重なりは美しきなり」の概念に
たどり着いたのかは不明だが
いつしかお皿を作る時は極力綺麗に重なるように心がけるようになった。

さあ、今週も重ねる仕事に精を出そう



手捻りの皿も重なるように作る
左奥の皿は機械ロクロで作ったものだが
コウダイを低くして綺麗に重なるようにした

これも重なりのエクスタシーなのだ。
え?どこが?
ハイ。色の重なりです。
白い粘土の素焼き肌+薄いブルーのガラス釉薬=青み掛った海の色
茶色い粘土の素地+べっ甲色の釉薬=深みのある茶色
さらにその上に黄色を滲ませて・・・
と釉薬の色を重ねて深みを出します

これも釉薬の重なりの愉しみ
焼く前の色は焼きあがりの色と違う。
例えば一番最後に施している釉薬は
灰が材料なのでグレー色をしているが
焼くとビードロ透明になる。
計算通りにいくと
青が綺麗に滲む茶碗になるハズなんだけどなあ~
焼きあがりを想像しながら
色を重ねてゆくのでしたとさ
この3つに釉薬を施すだけで
半日すぎてしまう。
梅雨の半ばには完成させよう。





















2012年6月21日木曜日

禁じられた舞台裏を公開してしもた 後で消すかも








そんなこんなで
前回の日記からかなり時間が経ってしまった。

なぜ?

今やニュースや報道に触れると国難の様相
このご時勢、楽しかったり旨かった事を書き残すのは
なんとなく気が引けたからだ。

しかし
どの外国に行っても旅を謳歌している日本人に出逢う。
国内で歌舞伎やアートに触れてもチケットは完売。
新宿の旨いオイスターバーは満席

これって????を覚えつつ
世が穏やかになるまで なるべく粘土のことだけを綴ろうと思っていたら
ブランクが空いてしまった。

ま・
それはそれ・これはこれ・
でもちゃんと復帰しよう。
とつぶやきながら着席したキネジコです。

そんなこんなで素焼きも終わって
釉薬掛けの作業の風景。
作業場は顔料・陶芸絵具・カラフルな釉薬・・・と
散らかってクレイジーな「怖オーラ」を撒き散らしている。


タッパーに入っているのが釉薬・これには筆を使う。
ちょっと放置するとすぐに沈殿してしまい
ついつい筆でかき混ぜてしまうため
すぐに穂先が痛んでしまう。

ボトルに入っているのがアメリカ製の釉薬。
これの優れているところは「沈殿しない」ところ。
マヨネーズのように使えるところが大いに気に入っている。



世の中には「シンプルイズベスト」という嫌な言葉があるけれど
私は「なんでもたっぷり」
その逆を張るのが好きだ。
色だって白だけよりも綺麗な釉薬がとけている様のほうが楽しい。

なのでどうしても
「全面が正面・色も絢爛・手間も愛情もたっぷり」
を焼きこめてしまい作品がクドくなってしまいがち(笑)

茶道を習っていたときに
どのお茶碗にも「正面」があることを知って
その「正面」だけを客人に見せるという件に触れたことがあり
「なんてケチなんだろう!私だったら全面が正面になるように作るぜ」
と決めた瞬間がある。
ワイルドだろ~~?

その事は間違っていることも知っている。
このくどさに飽きあきした後に
「キネジコのシンプル期」が訪れるだろうけれど
まだまだ 「多色・多手間・多正面」をつきすすむのだ

それにしても多色使いの大変さよ。
お~~い!ケロドトスの目にする「黒艶」どこへいった~~?
と瓶や蓋をひっくりかえしながら作業する日々でした。


これは作業の合間に佐島キスの外道で釣れた親子?。
私は「宇宙人ボイル」と呼んで食す。
大きいのは固いがこのサイズは柔かくてbest。
この宇宙人には脳みそ?肝臓?謎なミソがつまっていて
極上のフォアグラより旨し!
日本酒のアテに最高!
釣り人よ、頭の中の謎のミソを捨てるなかれ!

使い倒されたヨレヨレの筆は
発揮剤やなにか「最後の仕事」用に待機中。


唇の赤い魚なんていない?
いや・・いるんですね。これが。
一度どこかの岩場で釣ったことがあって
再会を心待ちにしているのだけど・・
お~~い!出てきておくれ・・。
逢いたし・・
この色の中から選んで使うのだけれど
同じオレンジでも3種類くらいあるので
焼きあがりを想像しながら選んでゆくのだが・・
「選択肢が多すぎる」のは作業効率かなり悪し。
そろそろ全く使わない色はリストラしようと感じています。





















2012年3月25日日曜日

春はいと罪深きものなりき ~高波とメバルと親切な秋谷の漁師~

そんなこんなでここ数週間は
まだ肌寒い灰色の空の下
心静かに粘土に夢中の日々だったのだが。。。

昨日の柔かい雨に「ついに来てしもたか・・」と
春を想っていて心乱されることしばし

で?何が頭をよぎるかって・・・?

テトラや防波堤からのチョイ釣りです。ハイ。
この季節から夏にかけてこれが楽しいんだなあ~

雨にもかかわらず「ええい!もう!いてまえ~~」って
粘土を放り出して愛車エンジンぶるるん

秋谷の餌やさんにとびこんで
アオイソメ・ブラクリ・サビキ・などいつもの
「まるで小学生の初めて釣りセット」を買いこんで
春のまだ冷たい雨の降る中、
2012年のテトラ&防波堤デビューを果たしてしまったのだ♪

久々だったのでテトラを飛び回る足さばきに冴えがなかったが
根にいるカサゴと周波数を合わせて居場所をさぐり
勘が戻ってきた感じにワクワクして
サビキにかかった「春の魚・メバル」に歓喜し
ほんのちょっとの釣りでも沢山の「棲むものたち」と交信して
真に五感の嬉しい時を過ごした

今日は晴れていたが
「天気静朗なれど波高し(おみくじ風)」
海に関係する人だったら近付かない程の波だったが
静かな湾内でちょちょっとサビキを出して
2時間ほどメバルと遊ばせてもらって
ご機嫌の御帰還

海外リゾートでクルーザーを連日チャーターして
小遣いがすってんてんになる釣りも楽しい

管理釣り場でニジマスが釣れすぎるのも楽しい

夜店の金魚すくいで1000円つぎ込んで3匹獲るのも楽しい

江の島を見ながらキス舟に乗るのも楽しい

友達のヨットに乗って釣る五目も楽しいが・・・

やっぱりそれぞれに「縛り」があって表裏一体

free to come  free to go
フラリと寄ってフラリと帰れるこの防波堤の釣りがいいんだなあ~

あまりの風に海が心配になった頃に
地元の漁師さんが「今日は危険だからもう帰りなさい」と
わざわざ言いに来てくれたので恐縮しきりで帰宅。

すっかり気が済んで
何事もなかったように粘土に戻った春の一日でした。



今週製作途中の作品

最近はおっぱいのない人魚が
多かったのだが 
やっぱり作者はこちらのほうが
納得できるんだなあ・・
ってなことで復活したおっぱいです。
今日の秋谷港
防波堤には高波が打ち寄せて
雲は黒く溶け始めまるで爆弾低気圧のような様相を示していました。
遠くに見えるのは雪を冠した富士山です。
湾内は静かでサビキが可能でした。
製作途中のlittle mermaid

焼成できた作品も沢山あるのだけれど
撮影する前に
皆 お嫁に出してしまいました。。
次の作品から記録を残していこうと思います
ここは横須賀市になるのだけれど
なぜか「南葉山」とも言います
左の山の上に昔のアトリエがあったり
近所に友達が住んでいたり
シーグラスの沢山獲れるポイントがあったり
私にとって沢山の思い出のある場所です

2012年2月21日火曜日

そば屋での悪夢~べっ甲メガネの逆襲~

常盤のそば屋にて

今日は鎌倉に用があったので
お気に入りのお蕎麦屋さんに立ち寄る

昼どきも過ぎていたので
小説と買いこんだ雑誌を丸めてしっぽりと・・
といつもの座敷めざし座ったらしばらくして
ガラガラ・・・と「べっ甲の眼鏡をかけた昭和の社長」な元気なお爺さんが入店。

これが悪夢の始まりでして・・。

社長さんは席につくと延々とそば屋の女将さんを相手に大声で
財産自慢を繰り広げてゆくのでした。

小説に没頭しようとしても財産自慢の声が大きすぎて
せっかくのお楽しみの時間が・・・。

「タコ社長! 静かにしろ!」

と言えたらいいのになあ~~と思いつつ
葉山に金ぴかの「会社の別荘を建てている」と聞こえてきたときには
つい「ええ!?どこだ?」と聞き耳たててしまう自分に苦笑しながら
早々にお金を払って駐車場に逃げ出してみれば
これまた昭和レトロなクラウンに運転手さんを待たせていました。

やれやれ・・と口直しに力餅やさんに立ち寄って
アトリエに逃げ帰ってコーヒーのみながらしっぽりと落ち着いたのでした。

このお菓子屋さんは これまた昭和レトロなお店なので
おススメです。赤福が自由に買えない神奈川人にとって穴場です。
あんころ餅が止まらないんだなあ~~
片瀬の龍興寺入り口で売っているあんころ餅も赤福チックだけれど
最近、お店がいつも閉まっているからちょっと心配しています。

お店の中には
和菓子やさん特有の蜜のあの匂いが
柱にしみついていて
いいんだなあ~~






今日の私の心の色は
この真ん中の女

でも本当のところは
実際は怒っていないしがっかりもしていないのです。

人間とは哀しくも愛すべきものかな・・
という感じなのれす

じゃんじゃん



2012年2月16日木曜日

消える名店と金魚とテンのお話

気が向いたときにふらりと立ち寄っていたお気に入りのお寿司屋さん

いつも空いてすぐに診てくれるおじいさん先生のいる内科医院

おデブさんにやさしかった昭和レトロな洋裁店

熱帯魚のものなら何でもそろう行きつけのアクアリウム店

これがある日忽然と消えている・・という悲劇にいくつか遭遇する事があった

当然あると思いこんで勢い扉をあけようと手を伸ばすが何もない
あれれ?と顔をあげるとそこにはガランとした空間があるだけ

運のいい時は 
そこに引っ越先の張り紙があったりする
閉店のご挨拶の張り紙があったりもする

今日の熱帯魚屋さんはガラス越しに覗いてみると
まるでひき剥がすように引越した跡が痛々しく残るだけ
それだけが残された者へのメッセージ

あの熱帯魚たちは何処へ?巨大水槽は?
魚を丁寧に掬ってくれたあの優しいお兄さんは何処へ?
いずれ飼おうと思っていたアロワナは?大型ナマズは?
餌が底をついた私の熱帯魚達はどうしよう・・?

・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・。


動揺してしまい なぜかしばしその場で目を閉じて
あの空間に存在したものたちと交信を計るが
そんなことは無駄なこと・・と我に返りその場を立ち去る

この世のルールではお客側が偉いとされているのだが
実はそこにお店があってくれることが本当は有難い事を忘れがちである

世の中みんな輪になってお互い様なのだ
もっとちゃんと「ありがとう」を伝えておけばよかった

仕方ないので みぞれ降る中 いきつけの「金魚専門店」に立ち寄り
急場しのぎの熱帯魚の餌を出してもらうと
女将さんが「お店もう辞めちゃおうかなあと思っているの」とのお言葉に
強力に心動かされてつい高い金魚を2匹買ってしまった。

その際仕入れた情報を書きしるしておこう

*****2012年**冬***葉山のテン情報*******

金魚屋さんはゴルフ場の山のふもとにある
最近、野生のテンがあらわれて金魚を食べてしまうので
罠をしかけて生け捕りにして役場に連絡すると
「保護動物につき殺処分できないので遠くで放してきます」
といって連れていかれたテンが翌日には戻ってきて
また金魚を食ったの。

というお話でした。

なんだか春が待ち遠しい町からでした。

じゃんじゃん

この子は川崎の皮膚科クリニックにお嫁に行きました。
幸せに暮らしているかな?
美人さんだったので作ってすぐにいなくなってしまいました。
porcelin mermaid original handmade
by hayama clay art studio mermaid7.com
この子たちが本日の餌難民!
餌を探して 怒りながら飛び回っています(笑)
何せ日々大きくなってしまう種類とは知らずに飼ってしまいました。
オリノコ河から来たカージナルテトラも珍しい川魚も海老も
みんな食べられてしまいました(涙)
hungry&angry fish
looking for food blaming the owner





この子はレンタル水槽の自動餌で生きているので
今日の「餌危機」は関係ないわ・・という佇まいです
この子の下にいるドット柄の子が最近のお気に入りです。
the salt water puff fish
this girl is one of my special
the name is SB(strange banana)